私の一品コレクション
中国刺繍絵巻物(清朝後期)
骨董収集家 Nさん (収集歴8年)へのインタビュー
- 何をきっかけに骨董へ興味を持つようになりましたか? 私の場合、いろんなジャンルの物を収集しており、それぞれのきっかけが違うので、正確に答えようとすると、なかなか一概に言えないのですが・・・ もともと呆れるほどの時間と手間暇をかけて、現代の常識を度外視して制作されたような精緻な物が大好きだったこと。 そして、どうせ入手するなら、大量生産品ではない、Only One の物が欲しかったこと。などです。
- どんな分野(美術)に興味を持っていますか? 私の場合、興味の幅が広すぎるのですが、特に日本と中国です。日本は最も触れる機会が多いから。中国は、以前仕事の都合で居住していたことがあり、これも触れる機会が多かったからです。結局、ご縁が興味のきっかけといえるのかもしれません。
- あなたの収集スタイルを教えて下さい。
紆余曲折を経た後、現在の収集スタイルは、「マニアックなジャンルで1級品(できれば超1級品)を集める」ということです。(ただ、これも常に変化しているので、今後、変わるかもしれません)
誰もが追いかける人気ジャンルで自慢したいのは山々ですが(笑)、それには物凄い資金力と物凄い強運・ご縁が必要です。これが、いちサラリーマンの私にはやや難しい。そうなると、
・マニアックジャンルで1級品か、
・人気ジャンルで2級品以下か、 の選択になります。 この場合、私にとっては、迷うことなく①マニアックジャンルで1級品です。 色々な良い物を見てくると、上には上があることを痛感し、だんだん2級品では満足できなくなる日が来ると思います。また、人気はその時々で変わります。 今の人気が将来続くかは誰にも分かりません。一方、トコトン時間と手間をかけて精緻に制作されたものは、いつの時代も人を魅了し、また不変だと思います。 - コレクションの一品に関して聞かせてください。 どれも個人的な思い入れのある物ばかりで、この一品というのは、非常に難しいです。今回は適当に、中国帰任の前日に入手した、絵巻物のような刺繍にしました。 全長6メートルの大作で、祝いの宴の様子が一面に刺繍されています。写真は、その一部です。
- 骨董収集を始めて、良かったことは何でしょう? 骨董収集も、他の趣味同様、なんだかんだで、物凄い時間とお金がかかります。 一方、私の場合、これによって何か実益を得た、というのは少なくとも今のところないですし、市場で人気が無いような物ばかり集めているので、今後も「経済面で」実益を得ることは今後もないように思います。 ただ、自分なりに骨董収集には時間をかけ、また精力を注いだことにより、今では自分の一部になっており、目にみえない所で自分の支えになり、また励ましにもなっています。
- これから、骨董収集を始める人のためにアドバイスをお願いします。
これから始める人に対して、というのであれば、
1.まずは買ってみる
2.余裕資金で買う
3.美術館や博物館で良い物をたくさん見る(骨董市やお店だけではなく) また、4.掘り出し物は(ほぼ)無いというのもありますが、人によって掘り出し物の定義が違いますし、これは経験しないと実感として分からないと思います。 私も収集初期はバンバン「掘り出し物」を狙ってギラギラしていました。 あまり色々考えず、まずは気軽に足を踏み入れて欲しいと思いますし、「掘り出し物狙い」も面白いと思います。
【コレクターNさんの骨董ブログ】 「nokiの骨董コレクション」