目利きになる方法。
誰もが、目利きになる方法を探しますが、正直、そんな方法はありません。
私も、かつて、骨董の先生に聞きました。「どうやって目利きになるんですか?」と。
すると、先生は、こう答えました。
「芸術は、女性と一緒で、どんな人にも、その人なりに美しい女性という基準を持っているでしょう。 それは、生まれてから、これまで、数十年も女性を見続けているから、そういう感覚が生まれるのです。
あなたは、どのくらい真剣に絵を見てきましたか?
まだ、いい絵だなと思う基準が出来ていないのであれば、それは、まだたくさんの絵を見ていなからでしょう。」
全くもってその通りなのです。
骨董のプロでも、騙されてきた。
これまで、どんな骨董の本を読んでも、古美術商に聞いたとしても、いつも答えは同じでした。
できるだけ多くの良い物をたくさん見ること!
今では、有名な鑑定士、古美術商と言われている人たちも、最初は、たくさん騙され、騙され続けるうちに、目利きになってきたのです。
私自身、最初は、全くもって、見方が分かりませんでしたが、骨董収集を始め、徐々に購入し、知識を付け、博物館や古美術商で良い物を見ていくうちに、 目が肥えてきたように思います。
それは、料理と同じで、学生時代は、カップラーメンで満足していたのに、一流レストランで食べ始めると、 以前のようにカップラーメンを食べたいとは思わなくなってしまうのと同じ感覚ではないでしょうか?
目利きになれない人の特徴
- お金が豊富にあり、吟味しない。
- 購入後は、押入れのまましまい込む。
- いつまで経ってもグレードを上げない。
- 自分の目で買うのではなく、人の意見や肩書に従う。
お金がたくさんあれば、別に購入したものが贋作だったとしてもあまり痛くありません。 しかし、なけなしのお金をはたいた人にとっては、贋作であれば立ち直ることが出来ません。
だから、真剣に物と向き合い、自然と目利き力が身についていきます。
そして、購入後、押し入れにしまい込むのも、いけません。
一体、なんの為に買ったのですか?
骨董品を飾り、眺め、触り、匂うことで、購入時には気づかなかった新たな発見があります。
そして、何度も眺めていくうちに、目が肥えてきて、もっと上のクオリティーが欲しくなったりします。それは、あなたが成長したという証拠です。
また、いつまでも、同じクオリティーのばかりのものを集めていると、目利き力は上達しません。
伝説の古美術商、廣田不孤斎曰く、
「1万円の物を買う時には、1万円だけの鑑識と度胸ができ、 10万円の品を買う時には、10万円だけの鑑識と度胸が出来ます。
ガラクタばかり扱っていれば、ガラクタの鑑識しか生まれないし、 名品を多く扱えば、名品の鑑識が生まれます。」
と、説いています。
最後に、骨董品を買う時は、外部要因に惑わされずに、自分自身で決めましょう。
本に載っていたから、古美術商が勧めてきたから、値段が高いから良いものだと思ったのではいけません。
あなたは、人を判断する時、その人の肩書、着ている服、持ち物で判断する人でしょうか?
例え、その人がどんな服を着ていようと、その人の目を見て、話し、理解することで、判断しなければいけません。 もし外部要因だけで、判断し、本質を見ていないのであれば、いつまで経っても目利きになることは出来ません。